体の痛みのうち肩の痛みは腰、膝に次いで多く、中高年以上の方には肩の痛みが特に多くなっています。その中でも五十肩(凍結肩、肩関節周囲炎)、腱板断裂(肩の関節を支える腱が損傷すること)が重要です。肩の痛みで受診する中高年の方々のうち、3分の1程度は腱板断裂と言われています。
頚椎の病気で肩が痛くなる方もおられますが、頸椎の病気では肩関節を動かすことでの痛みはおきません。
腱板断裂と五十肩では夜間痛(横になると痛い、寝返りで目が覚めるなど)が多く見られます。変形性関節症(加齢による関節の病気)では激しい痛みは少なく、作業時の痛みが主に見られます。
肩の痛みのため、肩があがりづらい、洋服が着づらい、髪をとかせない、エプロンのひもが結べないなどの症状がでます。
自分で肩をあげようとしても痛みが出るためにあげられなくなったり、肩関節の動く範囲が狭くなったりします。
診察では問診のほか、肩の動きを見る簡単なテストを行い、その上で必要であればエコー、レントゲン、MRIなどを行い原因特定します。
原因特定のための検査と並行して、痛みを軽減するための治療を開始します。
局所の安静、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDsなどの痛み止め)の内服、注射、理学・運動療法などを行います。運動療法は痛みが強い時期には行いません。
一般に通常の痛みを軽減する治療で徐々に改善しますが、効果ない場合、または原因がはっきりしない時や大きな検査が必要なときは専門医の受診をおすすめします。その上で手術での治療も選択肢のひとつになり得ます。五十肩では治療開始後半年ほどで改善がみられなければ専門医受診の上、手術も考慮されます。腱板断裂では年齢や生活状況、手術療法以外の治療の反応をみて、手術が選択されることもあります。